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『思いわずらうことなく愉しく生きよ』江國香織
2006年07月04日 (火) | 編集 |
思いわずらうことなく愉しく生きよ 思いわずらうことなく愉しく生きよ
江國 香織 (2004/06/19)
光文社
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▼結婚して7年の麻子、結婚はしないけれど同棲中の治子、
 恋愛なんて信じない育子。のびやかで凛とした3姉妹の物語。
 (本書帯より) ネタバレ注意報・・・・・・かな?
個性的な3姉妹。考え方も生き方も違う3姉妹。
けれど3人は信頼している。助け合える。
それは家族なのだと思う。家族の物語。

離婚した両親。2番町のお家と姉妹が名づけている実家。
今も母はそこに住んでいて。姉妹は時々遊びに行っている。
父とも娘たちはちゃんと交流していてー。
・・・ちょっとだけドラマ渡る世間なんか連想しちゃった☆

途中からじわじわと長女麻子の話題が多くなる。
夫、邦一の暴力がだんだん明らかになり、皆に知られ
麻子にとって最終的な決着をつけるまでーで物語が終わる。

麻子の気持ちは意外に理解しがたいものでもなく。
夫の暴力はすさまじいものがあるのに好きという気持ちがあり。
別れられない。心配している妹たちに嘘をついてまでも。
愛しているとまでいう。このミステリアスで恐怖で不思議な感覚。
麻子の心理描写を具体的に描いていくわけではなかったけど
無意識の中の麻子の行動に気持ちの変化が伺える。
言葉でうまく表現できなかった・・・けど麻子の心が現実の行動になる。
その微妙な感覚を江國さんは淡々と描いている。それが魅力でした。

日常にどこかにあるような家族の物語。
どこにでもあるような家族の物語。
だけどその中にあえてさらっと書き流してはいるけれども
想像すると恐ろしい異常さが描かれている。

DVは経験した人にしかわからないものがあるかもしれない。
明らかに周りから見ると異常に見える、だけど当人たちは
それが当たり前になってしまっているからか、異常と思えなくなる。
本書では麻子の目線で描かれた部分を読んでいるときは
夫への彼女の気持ちが不思議とわかるような気がしてくる。
だけど妹たちの目線で描かれた部分になったとき・・・
当たり前に異常と見えて、更に恐怖の気持ちが入り混じってくる。

さらっさらっと描かれてのあのラストはストーリー的には
澄み切った気分とか、すかっとした気分とか、
そんな感じの終わり方、になるだろうに・・・
でも、そういう表現ではないような気がする。
それがタイトルである『思いわずらうことなく愉しく生きよ』で
まとめられているような気がする。

父が2番町のお家に掲げた額に書かれている言葉、
このお家の家訓とも言えるのだろうか、この言葉、が
麻子のたどり着いた答えであり結果であり
そして3姉妹にとってもこの物語のピリオドになるー。

今回の作品は・・・
どこかの家族にあるかもしれない風景のひとつだと思う。
ありがち・・・であっては困るんだけど(笑)



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